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法科大学院の教育と司法試験との連携等に関する法律等の一部を改正する法律に関する会長声明

2019年07月10日



広島弁護士会 会長 今井 光

第1 声明の趣旨
 1 法科大学院の教育と司法試験との連携等に関する法律等の一部を改正する法律に伴い設置される会議体の構成員として,地方の法科大学院を含め法科大学院の教員や学生の意見等教育現場の視点を有する者を参画させるよう求める。
 2 同会議体における議論の過程について,会議体による会議が開催されるごとに,速やかに公表されることを求める。

第2 声明の理由
 1 第198回国会において,「法科大学院の教育と司法試験との連携等に関する法律等の一部  を改正する法律」が成立した。これにより,法科大学院の学生は,司法試験を受験年度の法科大学院の課程修了見込みの資格で受験するという,いわゆる法科大学院在学中の受験が可能になった。改正前は,司法試験受験年の3月に法科大学院を修了した者は,当該年の司法試験に合格できれば当該年の11月末が最短の司法修習開始時期であったところ,改正後は,司法修習開始の時期を変更し,法科大学院在学中に司法試験に合格した場合には,法科大学院修了後に開始される司法修習の対象者となるという制度に変更することが予定されている。前記国会での政府の答弁によれば,このような制度変更を伴う上記法改正の目的は,上記制度変更に伴う司法修習までの時間の短縮によって法科大学院生の時間的・経済的な負担を軽減することが,法曹志望者の拡大に寄与することであり,今後具体的な制度の内容,すなわち司法試験の時期,それに伴う法科大学院でのカリキュラムのあり方及び司法試験の内容等については,プロセスとしての法曹養成の中核である法科大学院の充実を踏まえ,関係省庁,大学関係者,法曹実務家等を構成員とする会議体で検討するとされている。
2 当会では,2019年2月27日「法科大学院在学中の卒業見込みの資格で司法試験の受験を認める制度へ変更する案についての会長声明」を発し,地方の法科大学院においては,法学未修者や地方の大学に多い複合学部(いわゆる法学以外の学問も併設している学部)において必ずしも手厚い法学教育を受けていない法学既修者に対して法曹への道を開く教育が求められていることを受けて,法科大学院での3年(未修者向け)もしくは2年(既修者向け)間の全体を活用した,丁寧な教育プログラムを開設しているところ,在学中の司法試験受験が行われることになれば,法科大学院における教育期間を実質的に短縮することになるため,地方の法科大学院では,短縮された教育期間で司法試験合格率を維持すべく司法試験の受験に対応することに重点を置いた教育を進めざるを得なくなることも考えられ,法学未修者や複合学部出身者の希望を閉ざすなど法曹の多様性の確保に支障となる恐れのある制度であることから,「プロセス」としての法曹養成制度を保持し,かつ,地方の法科大学院の実情を考慮にいれた上で,会議体を設置して慎重な検討を行うべきであるとの意見を述べた。
3 法科大学院は,法律改正後においてもプロセスとしての法曹養成制度の中核として実務に連結した教育を行い,多様な人材を輩出することを目的としている。そして,その目的を達成するためには,同法律改正に伴って今後構成される会議体において,引き続き法科大学院で充実した教育が継続でき,その教育効果を確認できる司法試験の実施時期,それに即した法科大学院のカリキュラムのあり方,その実施時期に適合する司法試験の内容,予備試験のあり方などについて,地方の法科大学院を含め法科大学院の教員や学生の意見等教育現場の視点に立った充実した議論が尽くされるべきである。また,同会議体での議論について各法科大学院や法科大学院教員,学生等においても検討ができ,教育現場からの意見を述べることが可能となるよう,同会議体における議論の過程については,逐次,速やかに公表されるべきである。
  したがって,第1の声明の趣旨のとおりの声明を行う。
以上