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医療過誤と介護に関するADR(仲裁手続)
従来、医療紛争は専門性が高く、話し合いは難しいため裁判をしなければならないと考えられてきました。しかし、深刻な紛争であっても、きっかけは些細な認識のずれであるという場合も少なくありません。また、高齢化社会がすすみ、介護事故も増加しています。これについても、コミュニケーション不足とこれにより生じる不信感からトラブルに発展するケースが珍しくありません。
広島弁護士会の医療・介護ADRは、医療過誤や介護事故の紛争を、裁判ではなく仲裁人の弁護士を通じた話し合いによって早期に納得のいく解決を図ることを目指す手続です。
この手続は、医療・介護の紛争に関する知識や経験の豊富な弁護士2名(原則)が仲裁人となって、患者・医療機関いずれかの申立によって始まります。通常3回程度の話し合いを行い、半年以内の解決を目指します。ADRは裁判とちがって非公開の手続であり、患者(利用者)側、医療機関(介護施設)側の双方にとってメリットのある手続です。申立費用として1万1千円(税込)、調停成立の際所定の手数料が必要です。
Q1 医療・介護ADRにはどんなメリットがありますか?
対話を重視しますので、患者(利用者)側は説明を十分に受けることができます。医療機関(介護施設)側も、非公開のためプライバシーが確保できます。また、事案の把握や示談内容の調整等においても、医療紛争や介護事故紛争の経験が豊富な仲裁人から、説得力ある説明や助言を受けることができます。
Q2 どんな人が仲裁人になるのですか?
医療紛争や介護事故紛争の解決に必要とされる知識や経験の豊富な弁護士2名が仲裁人になります。
1名は患者(利用者)側代理人の経験豊富な弁護士、もう1名は医療機関(介護施設)側代理人の経験豊富な弁護士から選任されます。
Q3 仲裁人の弁護士は、患者(利用者)側の味方をするのですか?
いいえ、ちがいます。仲裁人は、患者(利用者)側・医療機関(介護施設)側のいずれにも偏ることなく中立的な立場で示談のあっせんにあたります。
Q4 「説明を求めたい」という内容の申立てもできますか?
医療・介護ADRは、医療過誤や介護事故の紛争に関する当事者間の自主的な解決を支援する手続きです。賠償金などの金銭請求もできますが、それ以外の事項について、たとえば診療経過や死因・後遺障害の原因について説明をしてもらうために申し立てることもできます。
Q5 医療機関(介護施設)側から申立をすることもできるのですか?
過失の存在自体は争わないけれども、適切な損害賠償額について第三者である仲裁人を入れて話し合いたいとき、仲裁人の立ち会いの下で事故原因等の説明を行いたいときなど、患者(利用者)との関係調整のために医療機関(介護施設)側から申し立てる利用方法もあります。
Q6 申立方法は?
広島弁護士会の仲裁センター窓口(法律相談センターひろしま内)に和解あっせん・仲裁申立書を提出してください。弁護士に依頼して申し立てることもできますので、まずは法律相談センターひろしまにご相談ください(電話082-225-1600)