会長声明2005.06.08
国選弁護報酬の増額を求める会長声明
広島弁護士会
会長 山田延廣
当会は,国選弁護報酬の増額について以下のとおり強く要望する。
1 日本司法支援センターが発足後,同センターから支払われる国選弁護報酬は,これまでの極めて低額な国選弁護報酬を踏襲することなく,被疑者国選及び被告人国選ともに,それぞれ少なくとも1件当たり20万円になるよう報酬基準を定め,それに見合う予算措置をとること
2 同じく,この報酬基準決定にあたっては,報酬以外の記録謄写費用,旅費,通訳料及び翻訳料など刑事弁護活動に必要な実費を全額支払われる制度を確立したうえ,そのための予算措置をとること
理 由
1 当会においては,国選弁護担当名簿に会員全員が登載される運用の下で,国選弁護活動が行われている。これは,当会会員全員が国選弁護の重要性を認識し,国選弁護を担うことが弁護士の責務であることを自覚しているからに外ならない。
しかし,現行の国選弁護報酬の地裁標準基準額は8万5200円であり,加えて全額支弁されるべき記録謄写料,交通費,通訳料,翻訳料等弁護活動に不可欠な実費も,弁護報酬に含まれているとして支給されないか,または制限された範囲でしか支給されない現状にある。このような国選弁護報酬の現状は,刑事弁護活動の実態や職務の重要性に相応したものとはいえず,国選弁護制度は,それを担っている弁護士の責務に対する義務感と犠牲において運営されていると言っても過言ではない。
2 また,総合法律支援法に基づいて日本司法支援センターが設立され,2006年(平成18年)10月からは同センターと契約した弁護士が全ての国選事件を担うことが予定されている。そして,同センターが支払う報酬及び費用については,現行の国選報酬に関する定め(刑訴法38条2項)の適用がなされず,新たに法務省が定めた契約約款に基づくことになる。
加えて,同年より国費による被疑者弁護制度が開始されるが,当会は,全会員がこの被疑者国選を含むすべての国選事件につき,今後とも刑事弁護活動を弁護士の責務として真摯に遂行する用意がある。
そこで,当会は,これらの新たな制度の導入にあたり,国選弁護人の刑事弁護活動に対して適正な報酬基準を設け,かつ刑事弁護活動に必要な実費支弁を行う制度を確立したうえ,これらに見合う予算措置をすることこそ国の責務であると考える。そして,刑事弁護は,被疑者・被告人接見,関係者との打ち合わせ,現場検証,記録閲覧,被害弁償,検察官との交渉,公判における諸々の活動等からなるものであって,このような活動を必要とする刑事弁護に対する適正な報酬基準は,20万円を下回ることはないと考えられる。
これらの理由に基づき,日本弁護士連合会を初めとして,各地の弁護士会は国選弁護報酬の増額を求める会長声明等を出しているところである。
3 以上から,日本司法支援センターの発足にあたり,国選弁護報酬が少なくとも1件あたり20万円となるような報酬基準と,国選弁護報酬とは別に刑事弁護活動に不可欠な実費の支払いを行うべき各制度を確立したうえ,これに見合う予算措置が行われることを強く要望する。
以上
広島弁護士会
会長 山田延廣
当会は,国選弁護報酬の増額について以下のとおり強く要望する。
1 日本司法支援センターが発足後,同センターから支払われる国選弁護報酬は,これまでの極めて低額な国選弁護報酬を踏襲することなく,被疑者国選及び被告人国選ともに,それぞれ少なくとも1件当たり20万円になるよう報酬基準を定め,それに見合う予算措置をとること
2 同じく,この報酬基準決定にあたっては,報酬以外の記録謄写費用,旅費,通訳料及び翻訳料など刑事弁護活動に必要な実費を全額支払われる制度を確立したうえ,そのための予算措置をとること
理 由
1 当会においては,国選弁護担当名簿に会員全員が登載される運用の下で,国選弁護活動が行われている。これは,当会会員全員が国選弁護の重要性を認識し,国選弁護を担うことが弁護士の責務であることを自覚しているからに外ならない。
しかし,現行の国選弁護報酬の地裁標準基準額は8万5200円であり,加えて全額支弁されるべき記録謄写料,交通費,通訳料,翻訳料等弁護活動に不可欠な実費も,弁護報酬に含まれているとして支給されないか,または制限された範囲でしか支給されない現状にある。このような国選弁護報酬の現状は,刑事弁護活動の実態や職務の重要性に相応したものとはいえず,国選弁護制度は,それを担っている弁護士の責務に対する義務感と犠牲において運営されていると言っても過言ではない。
2 また,総合法律支援法に基づいて日本司法支援センターが設立され,2006年(平成18年)10月からは同センターと契約した弁護士が全ての国選事件を担うことが予定されている。そして,同センターが支払う報酬及び費用については,現行の国選報酬に関する定め(刑訴法38条2項)の適用がなされず,新たに法務省が定めた契約約款に基づくことになる。
加えて,同年より国費による被疑者弁護制度が開始されるが,当会は,全会員がこの被疑者国選を含むすべての国選事件につき,今後とも刑事弁護活動を弁護士の責務として真摯に遂行する用意がある。
そこで,当会は,これらの新たな制度の導入にあたり,国選弁護人の刑事弁護活動に対して適正な報酬基準を設け,かつ刑事弁護活動に必要な実費支弁を行う制度を確立したうえ,これらに見合う予算措置をすることこそ国の責務であると考える。そして,刑事弁護は,被疑者・被告人接見,関係者との打ち合わせ,現場検証,記録閲覧,被害弁償,検察官との交渉,公判における諸々の活動等からなるものであって,このような活動を必要とする刑事弁護に対する適正な報酬基準は,20万円を下回ることはないと考えられる。
これらの理由に基づき,日本弁護士連合会を初めとして,各地の弁護士会は国選弁護報酬の増額を求める会長声明等を出しているところである。
3 以上から,日本司法支援センターの発足にあたり,国選弁護報酬が少なくとも1件あたり20万円となるような報酬基準と,国選弁護報酬とは別に刑事弁護活動に不可欠な実費の支払いを行うべき各制度を確立したうえ,これに見合う予算措置が行われることを強く要望する。
以上