声明・決議・意見書

会長声明2005.09.22

死刑確定者に対する死刑執行

広島弁護士会
会長  山田延廣

1  本年9月16日,大阪拘置所においてA死刑確定者に対する執行がなされた。
2  国際社会において,死刑を廃止ないし執行を停止する国々が既に6割程度に達しており,死刑廃止は国際的な潮流となっている。
我が国の現行の死刑制度に対しては,1980年代に4名の死刑確定者に対する再審無罪判決がなされたことに見られるように誤判のおそれあること,死刑判決と無期懲役判決との間に明確な量刑基準があるとは言えないこと,死刑判決がなされたときに被告人の意思で上訴せず,一審判決のみで死刑が確定する場合があることの問題点などが指摘されている。
しかるに,今回の死刑執行も,国会の閉会中になされ,死刑執行についての国会での論議を避けようとする意図が窺われる。
3  日本弁護士連合会は,2002年11月,死刑執行を停止して,死刑制度の存廃についての国民的議論を尽くし,制度の改善を行うことを求め,その間は,死刑確定者に対する死刑執行を停止することを求める立場を明らかにしてきている。
当会においても,昨年8月28日に,「死刑執行停止を考える」シンポジウムを開催し,死刑制度の存廃問題と死刑執行停止についての議論を行ってきたところである。
その中で,死刑をめぐる情報が秘匿されている事実が明らかとなった。
4  当会は,この度死刑が執行されたことについて遺憾の意を表明するとともに,死刑をめぐる情報が開示され,死刑の存廃についての国民的な議論が尽くされるまで,死刑の執行を停止するよう要望する。

以上