会長声明2008.02.13
非司法競売手続導入に反対する会長声明
広島弁護士会
会長 武井康年
1 法務省は、裁判所が関与しない不動産競売手続(以下「非司法競売手続」という。)の導入を検討しており、関係団体への意見聴取が最終段階に来ている。
しかし、同手続には以下述べるような多くの問題点があり、当会は、その導入に強く反対する。
2 法務省の案には四案あり、その中には、現況調査報告書、評価書、物件明細書のいわゆる三点セットを必要としない案も含まれている。しかし、上記三点セットは、買い受け人に対し情報を提供するものとして重要かつ必要なものであり、これを不要とする手続は、買い受け人の保護に欠ける手続となる。
また、最低売却価格を設けない案では、物件が不当に低額で落札され、残債務の負担を余儀なくされる債務者や保証人の利益を害することになる。しかも、非司法競売手続の主催者として参入する業者について選定の基準が曖昧になれば、不適切な業者の参入を招くことになりかねない。そして市民が不適切な業者を見破ることは極めて困難であり、選定業者によって買い受け人や債務者等が思わぬ不利益を被る恐れがある。
さらに、暴力団等の反社会的勢力が自らの利益を生み出す手段として非司 法競売手続を利用するおそれが十分にある。近年、暴力団等への取締強化により、株取引や企業買収が新たな資金源となっていることは周知の事実である。
3 以上のように非司法競売手続には多くの問題点が存在するが、一方で現在の競売手続において、売却に要する期間は短縮され、売却率も改善してきており、敢えて非司法競売手続導入しなければならない社会的要請も存在しない。
4 当会は、以上のような問題点を有する非司法競売手続の導入には強く反対するものである。
以上
広島弁護士会
会長 武井康年
1 法務省は、裁判所が関与しない不動産競売手続(以下「非司法競売手続」という。)の導入を検討しており、関係団体への意見聴取が最終段階に来ている。
しかし、同手続には以下述べるような多くの問題点があり、当会は、その導入に強く反対する。
2 法務省の案には四案あり、その中には、現況調査報告書、評価書、物件明細書のいわゆる三点セットを必要としない案も含まれている。しかし、上記三点セットは、買い受け人に対し情報を提供するものとして重要かつ必要なものであり、これを不要とする手続は、買い受け人の保護に欠ける手続となる。
また、最低売却価格を設けない案では、物件が不当に低額で落札され、残債務の負担を余儀なくされる債務者や保証人の利益を害することになる。しかも、非司法競売手続の主催者として参入する業者について選定の基準が曖昧になれば、不適切な業者の参入を招くことになりかねない。そして市民が不適切な業者を見破ることは極めて困難であり、選定業者によって買い受け人や債務者等が思わぬ不利益を被る恐れがある。
さらに、暴力団等の反社会的勢力が自らの利益を生み出す手段として非司 法競売手続を利用するおそれが十分にある。近年、暴力団等への取締強化により、株取引や企業買収が新たな資金源となっていることは周知の事実である。
3 以上のように非司法競売手続には多くの問題点が存在するが、一方で現在の競売手続において、売却に要する期間は短縮され、売却率も改善してきており、敢えて非司法競売手続導入しなければならない社会的要請も存在しない。
4 当会は、以上のような問題点を有する非司法競売手続の導入には強く反対するものである。
以上