会長声明2012.07.11
大飯原子力発電所3号機再稼働に抗議する会長声明
広島弁護士会
会長 小田 清和
関西電力は、去る7月1日、大飯原発3号機を再稼働させた。
当会は、これに対し、強く抗議する。
2011年(平成23年)3月11日に起きた東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「福島第一原発事故」という。)により、福島県を中心に、東北地方や関東地方の広い範囲が、放射性物質により汚染された。今後、人体に対する放射線の被害、とりわけ子どもたちの、体内被曝による健康被害が深刻に懸念されている。
事故後ちょうど1年4カ月を経過した現在においても、福島第一原発からは多量の放射性物質が日々放出され続けており、いつになったらこれがやむのか、誰もわからない。
いまだ福島第一原発事故の事故原因解明は完了しておらず、今後原発を運転するにあたって取るべき万全の安全対策も未解明な状況である。
今回の原発事故は、いったん原発に重大な事故が起きると、いかに広範な地域の、多数の人々の生活を根本から破壊し、命と健康を脅かすものであるかを、改めて私たちに突き付けた。安易にエネルギーを原発に依存することの怖さを、私たちは思い知らされた。
国民の間では、エネルギーを原発に依存せず、他の安全でクリーンなエネルギーへの転換を速やかに行うべきであるとする意見が多数を占めるに至っている。
今年5月5日、日本中の全ての原発が運転を停止した時には、日本の多くの国民が安堵をした。
しかし政府はエネルギー源としての原発にこだわり、着々と原発再稼働のための準備を進めた。本年4月6日、政府は原発再稼働のための暫定的な安全基準を定めたが、この安全基準は法的根拠を有するものではないうえ、短時間で策定されたもので外部の専門家により十分議論されておらず、さらにその内容も、同年2月16日に原子力安全・保安院が作成した「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間とりまとめ)」に基づく30項目の安全対策(例えば、免震棟の建設等の重要な対策)に関してさえ「着実な実施計画が事業者により明らかにされていること」で足りるとするなど、あまりにずさんで合理性がないものであった。
福島第一原発事故を目の当たりにしたいま、仮にやむを得ず原発の運転を行う場合には、万が一にも事故が起きないよう、最高水準の科学により最大限の安全を確保しながら行うべきであるところ、政府の「暫定的な安全基準」はとうてい、この要請にこたえるものではない。
被爆地広島では、原爆投下によって放出された放射線により、多数の市民が病気になって苦しみ死に至った。原爆投下から67年が経過するいまもなお、多くの人々が放射線で苦しんでいる。
原発に由来する放射線は、原爆に由来する放射線と同じものである。原爆に由来すると原発に由来するとにかかわらず、一切の核による被害を繰り返さないことは、放射線の恐ろしさを身をもって知る、私たち広島に住む者の、心からの願いである。
当会は、被爆地広島の弁護士会として、このたび法的根拠もなく内容もずさんな暫定的安全基準により関西電力に原発再稼働を急がせた政府、及びこれに安易に呼応してあえて危険も顧みず原発を再稼働させた関西電力に対し強く抗議するとともに、全世界に対し、エネルギーを原発に依存せず、英知を集め安全でクリーンなエネルギーの開発と確保に向けて全力を注ぐよう呼び掛ける。
以上
広島弁護士会
会長 小田 清和
関西電力は、去る7月1日、大飯原発3号機を再稼働させた。
当会は、これに対し、強く抗議する。
2011年(平成23年)3月11日に起きた東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「福島第一原発事故」という。)により、福島県を中心に、東北地方や関東地方の広い範囲が、放射性物質により汚染された。今後、人体に対する放射線の被害、とりわけ子どもたちの、体内被曝による健康被害が深刻に懸念されている。
事故後ちょうど1年4カ月を経過した現在においても、福島第一原発からは多量の放射性物質が日々放出され続けており、いつになったらこれがやむのか、誰もわからない。
いまだ福島第一原発事故の事故原因解明は完了しておらず、今後原発を運転するにあたって取るべき万全の安全対策も未解明な状況である。
今回の原発事故は、いったん原発に重大な事故が起きると、いかに広範な地域の、多数の人々の生活を根本から破壊し、命と健康を脅かすものであるかを、改めて私たちに突き付けた。安易にエネルギーを原発に依存することの怖さを、私たちは思い知らされた。
国民の間では、エネルギーを原発に依存せず、他の安全でクリーンなエネルギーへの転換を速やかに行うべきであるとする意見が多数を占めるに至っている。
今年5月5日、日本中の全ての原発が運転を停止した時には、日本の多くの国民が安堵をした。
しかし政府はエネルギー源としての原発にこだわり、着々と原発再稼働のための準備を進めた。本年4月6日、政府は原発再稼働のための暫定的な安全基準を定めたが、この安全基準は法的根拠を有するものではないうえ、短時間で策定されたもので外部の専門家により十分議論されておらず、さらにその内容も、同年2月16日に原子力安全・保安院が作成した「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間とりまとめ)」に基づく30項目の安全対策(例えば、免震棟の建設等の重要な対策)に関してさえ「着実な実施計画が事業者により明らかにされていること」で足りるとするなど、あまりにずさんで合理性がないものであった。
福島第一原発事故を目の当たりにしたいま、仮にやむを得ず原発の運転を行う場合には、万が一にも事故が起きないよう、最高水準の科学により最大限の安全を確保しながら行うべきであるところ、政府の「暫定的な安全基準」はとうてい、この要請にこたえるものではない。
被爆地広島では、原爆投下によって放出された放射線により、多数の市民が病気になって苦しみ死に至った。原爆投下から67年が経過するいまもなお、多くの人々が放射線で苦しんでいる。
原発に由来する放射線は、原爆に由来する放射線と同じものである。原爆に由来すると原発に由来するとにかかわらず、一切の核による被害を繰り返さないことは、放射線の恐ろしさを身をもって知る、私たち広島に住む者の、心からの願いである。
当会は、被爆地広島の弁護士会として、このたび法的根拠もなく内容もずさんな暫定的安全基準により関西電力に原発再稼働を急がせた政府、及びこれに安易に呼応してあえて危険も顧みず原発を再稼働させた関西電力に対し強く抗議するとともに、全世界に対し、エネルギーを原発に依存せず、英知を集め安全でクリーンなエネルギーの開発と確保に向けて全力を注ぐよう呼び掛ける。
以上