会長声明2015.01.20
再審請求前の弁護人及び弁護人となろうとする者の秘密接見交通権の保障を求める会長声明
広島弁護士会
会長 舩木孝和
最高裁判所は,2014年(平成26年)11月18日,広島拘置所内で行われた死刑確定者と再審請求手続の弁護人になろうとする者である当会会員2名(のちに正式に弁護人となった)との再審請求打合せのための接見に際し,同所長が職員を立ち会わせたことが違法であるとして,国に対し,当会会員2名への国家賠償を命じた広島高等裁判所第2部による判決(2013年(平成25年)10月25日言渡し)に関する上告を棄却した。そのため,再審請求手続の弁護人になろうとする者の接見について,同高等裁判所の判決で述べられているように,原則として立会が付されることが違法であることが確定した。
そもそも,再審制度は,確定判決を受けた者について,新たな証拠に基づいて当該確定判決の誤りを是正し,無辜の者を救済することを目的とする,いわば刑事手続の最後の砦である。
このような再審制度は,救済手続としての観点から,再審理由の存否の判断において,厳格・形式的な解釈を行うなどの消極的運用がなされるべきではなく,さらに適正な再審制度の運用のためには,再審手続に不可欠な弁護人との打合せのための面会の機会とその秘密性が十分に保障される必要がある。
そして,現在の再審制度においては,再審開始決定に至る以前の再審請求手続において,確定判決を覆すに足りる事情の存否が実質的に検討されるなど,再審開始決定に至るまでの過程が決定的に重要であり,再審請求手続における弁護人には,再審手続の弁護人と何ら異ならない活動が必要とされている。
そのため,受刑者・死刑確定者や再審請求の依頼を受けた弁護人及び弁護人となろうとする者にとっては,再審請求手続及びその準備段階においても,刑事施設職員の立会のない接見が認められなければ,再審請求に向けた適正な手続が保障されているとはいえない。
最高裁判所は,2013年(平成25年)12月10日に,上記決定とは別の事件において,「死刑確定者又は再審請求弁護人が再審請求に向けた打合せをするために秘密面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置は,・・・特段の事情がない限り,・・・国家賠償法1条1項の適用上違法となると解するのが相当である。」と判示して,死刑確定者と再審請求手続の弁護人である当会会員との再審請求打合せのための接見に際し,同所長が職員を立ち会わせたことが違法である旨判断している(当会は、この判決を受けて2014年(平成26年)1月 21日付で再審請求前の弁護人及び弁護人となろうとする者の秘密接見交通権の保障を求める会長声明を発出している)。したがって,最高裁判所において,本決定と併せて,死刑確定者と再審請求弁護人(になろうとする者を含む)との間の接見に関して,原則として適正手続に従った保障を認めることが確立されたものと考えられる。
そこで,当会は,全ての刑事施設に対し,上記決定の趣旨を真摯に受け止め,受刑者・死刑確定者と再審請求の依頼を受けた弁護人及び弁護人になろうとする者との面会が立会無く実施されることを,再度求める。
以上
広島弁護士会
会長 舩木孝和
最高裁判所は,2014年(平成26年)11月18日,広島拘置所内で行われた死刑確定者と再審請求手続の弁護人になろうとする者である当会会員2名(のちに正式に弁護人となった)との再審請求打合せのための接見に際し,同所長が職員を立ち会わせたことが違法であるとして,国に対し,当会会員2名への国家賠償を命じた広島高等裁判所第2部による判決(2013年(平成25年)10月25日言渡し)に関する上告を棄却した。そのため,再審請求手続の弁護人になろうとする者の接見について,同高等裁判所の判決で述べられているように,原則として立会が付されることが違法であることが確定した。
そもそも,再審制度は,確定判決を受けた者について,新たな証拠に基づいて当該確定判決の誤りを是正し,無辜の者を救済することを目的とする,いわば刑事手続の最後の砦である。
このような再審制度は,救済手続としての観点から,再審理由の存否の判断において,厳格・形式的な解釈を行うなどの消極的運用がなされるべきではなく,さらに適正な再審制度の運用のためには,再審手続に不可欠な弁護人との打合せのための面会の機会とその秘密性が十分に保障される必要がある。
そして,現在の再審制度においては,再審開始決定に至る以前の再審請求手続において,確定判決を覆すに足りる事情の存否が実質的に検討されるなど,再審開始決定に至るまでの過程が決定的に重要であり,再審請求手続における弁護人には,再審手続の弁護人と何ら異ならない活動が必要とされている。
そのため,受刑者・死刑確定者や再審請求の依頼を受けた弁護人及び弁護人となろうとする者にとっては,再審請求手続及びその準備段階においても,刑事施設職員の立会のない接見が認められなければ,再審請求に向けた適正な手続が保障されているとはいえない。
最高裁判所は,2013年(平成25年)12月10日に,上記決定とは別の事件において,「死刑確定者又は再審請求弁護人が再審請求に向けた打合せをするために秘密面会の申出をした場合に,これを許さない刑事施設の長の措置は,・・・特段の事情がない限り,・・・国家賠償法1条1項の適用上違法となると解するのが相当である。」と判示して,死刑確定者と再審請求手続の弁護人である当会会員との再審請求打合せのための接見に際し,同所長が職員を立ち会わせたことが違法である旨判断している(当会は、この判決を受けて2014年(平成26年)1月 21日付で再審請求前の弁護人及び弁護人となろうとする者の秘密接見交通権の保障を求める会長声明を発出している)。したがって,最高裁判所において,本決定と併せて,死刑確定者と再審請求弁護人(になろうとする者を含む)との間の接見に関して,原則として適正手続に従った保障を認めることが確立されたものと考えられる。
そこで,当会は,全ての刑事施設に対し,上記決定の趣旨を真摯に受け止め,受刑者・死刑確定者と再審請求の依頼を受けた弁護人及び弁護人になろうとする者との面会が立会無く実施されることを,再度求める。
以上